世田谷相続専門税理士事務所

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遺産分割のやり直しは税負担が増える?時効は?

 

■このような方にオススメ

  • 遺産分割の結果に納得が行っていなくてお悩みの方
  • 遺産分割のやり直しのに時効があるのか知りたい方

 

■この記事のポイント

  • 法的に無効な遺産分割はやり直す必要がある法的に無効な遺産分割はやり直す必要がある
  • 有効な遺産分割でも相続人全員の合意があればやり直しできる
  • 遺産分割協議に時効はない
  • 有効な遺産分割をやり直せても分割に税金がかかる

 

こんにちは、世田谷相続専門税理士事務所です。

 

遺産分割協議が完了した後になって、やっぱりやり直したいという場合があるかもしれません。遺産分割協議をやり直しできるのか、結論をいえば、相続人全員の合意があればできます。ただし遺産分割協議を相続人の間でやり直す場合に、そのときの分割に多くの税金がかかってくる可能性があるので、遺産分割協議をやり直すかどうかを慎重に考えなければなりません。

 

遺産分割のやり直しできるケースや時効、注意点を解説しますので、遺産分割協議のやり直しを検討している方は参考にしてください。

 

この記事の目次

  • 遺産分割は原則、やり直しできない
  • 遺産分割協議のやり直しできるケース2つ
  • ケース1:遺産分割協議が法的に無効な場合
    • 例1:あらたな相続人が現れた場合
    • 例2:相続人以外の人が参加した場合
    • 例3:あらたな財産が見つかった場合
    • 例4:遺言が見つかった場合
    • 例5:詐欺や脅迫があった場合
  • ケース2:相続人全員の合意があったとき
  • 遺産分割協議のやり直しに時効はない
  • 遺産分割協議をやり直すにあたっての注意点【贈与税・登記】
    • 相続人全員の合意があった場合
    • 遺産分割協議が法的に無効な場合
  • まとめ

 

遺産分割は原則、やり直しできない

 

相続が開始すると亡くなられた方が遺した相続財産は、遺産分割が完了するまで相続人全員の共有財産とされます。この共有財産を相続人のそれぞれに配分することを遺産分割といいます。

 

各相続人への配分方法の遺産分割には以下の3つの方法があります。

  • ①亡くなった方が遺言で分割を指定する「指定分割」
  • ②相続人が全員で話し合い分割を決める「協議分割」
  • ③家庭裁判所に分割を委ねる「調停分割」、「審判分割」

遺産分割はまずは相続人間の話し合いで進められますが、相続人全員の合意まで至らない場合は、家庭裁判所の助けを借ります。

 

家庭裁判所が相続人の話し合いの間に入り遺産分割の成立を目指します。このことを「調停分割」といいます。また調停での話し合いでも合意に至らない場合は裁判所が遺産分割を決定します。このことを「審判分割」といいます。

これらの遺産分割(遺言での指定分割を除く)が一度、成立した後にはじめからやり直しできるのかというと、原則できません。

 

②「協議分割」であれば、遺産分割が成立すると遺産分割協議書に相続人全員が署名・押印します。これは遺産分割の内容に相続人全員が合意したことを意味します。相続人全員が合意しているのであれば遺産分割のやり直しを認める必要はありません。

 

また③「調停分割」や「審判分割」は、家庭裁判所に遺産の分割が委ねられている以上、特別な事情がなければ遺産分割のやり直しはできません。

 

ただし③「調停分割」や「審判分割」の場合でも相続人全員が参加せずに成立した遺産分割や、相続人以外の人が参加した遺産分割など遺産分割が無効・取消しの事由にあたる場合はやり直しできます。

 

以上が原則ですが、例外もあります。本記事ではニーズがあると思われる②「協議分割」をくわしく解説します。

 

遺産分割協議のやり直しできるケース2つ

 

遺産分割協議をやり直しできる例外として以下の2つのケースがあります。

  • 遺産分割協議が法的に無効な場合
  • 相続人全員の合意があった場合

 

以下では、2つのケースを順に説明します。

 

ケース1:遺産分割協議が法的に無効な場合

 

遺産分割協議は相続人の全員が話し合いに参加して、相続人全員がその内容に同意することで成立します。しかし一度、成立した分割協議であっても、法的に無効な場合、はじめから遺産分割協議自体がなかったとして、もう一度やり直しできます(やり直さなければなりません)。したがって遺産分割をやり直しできるケースの1つ目は、遺産分割協議が法的に無効だった場合です。


遺産分割協議が法的に無効になる場合とは、たとえば以下の場合です。

 

  • あらたな相続人が現れた場合
  • 相続人以外が協議に参加していた場合
  • あらたな財産が発見された場合
  • ④遺言が見つかった場合
  • ⑤詐欺や脅迫で合意があった場合

以下では、こちらの例の内容を順に解説します。

 

例1:あらたな相続人が現れた場合

 

分割協議後にあらたな相続人が現れ場合は、当初の遺産分割協議は無効になります。

 

遺産分割協議は相続人全員で行う必要があるからです。相続人が一人でもかけた遺産分割協議は無効です。たとえば遺産分割協議が成立した後に認知された非嫡出子(法律上、婚姻関係を結んでいない男女の間に生まれた子供のこと)があらわれた場合などです。

 

なお遺産分割協議のやり直しを請求できるのは、亡くなった方の生前に認知されていた場合のみです。

 

例2:相続人以外の人が参加した場合

 

相続人以外の人が参加して成立した遺産分割協議は無効になる場合があります。

 

遺産分割協議は相続人の間で協議を行い同意するものだからです。たとえば相続資格が失われた相続欠格者が参加して行われた遺産分割協議があたります。

 

例3:あらたな財産が見つかった場合

 

遺産分割協議が完了した後に、あらたな財産が発見された場合は、すでに確定した遺産分割は有効なまま、あらたな財産のみ遺産分割協議を行います。

 

あらたに発見された財産については、だれが相続するのか相続人全員の合意が得られてないからです。なお一般的には協議後にあらたに財産が見つかったときに備えて、遺産分割協議書に以下のような文言を記載しておきます。

 

「相続人●●は、上記に記載以外の被相続人の全ての遺産を取得する。」

 

ただし、あらたに見つかった財産の価値が高く、その存在が事前にわかっていれば遺産分割協議に大きく影響を与えていたと認められる場合は、遺産分割をすべてやり直しになることもあります。

 

例4:遺言が見つかった場合

 

遺産分割が完了した後に遺言が見つかった場合は、確定した遺産分割は無効になり、あらためて遺言にもとづき指定分割を行います。これは民法95条の錯誤(さくご)による無効が認められるケースにあたります。

ただし遺産分割を優先させたいと相続人全員が合意した場合は、すでに確定した遺産分割を有効にできます。

 

例5:詐欺や脅迫があった場合

 

詐欺や脅迫にあって遺産分割協議は無効もしくは取消し事由になります。

 

遺産分割は自らの意思で遺産分割協議に同意してないからです。たとえば脅迫によって実印を勝手に使われ遺産分割協議書が作られた場合などです。

 

遺産分割協議が法的に無効な場合は、その他に、認知上で判断能力が十分でない相続人がいた場合、未成年が代理人を立てずに協議に参加した場合などがあります。

 

以下では、法的には無効でないが、遺産分割協議をやり直しできるケースを解説します。

 

ケース2:相続人全員の合意があったとき

 

法的に無効ではなくても相続人全員の合意があれば、遺産分割協議をやり直せます

この点については、相続人全員の合意があれば遺産分割協議を解除できる趣旨の最高裁判例の判決がでています(最高裁判所判例平成2年9月27日)。

"共同相続人の全員が、既に成立している遺産分割協議の全部又は一部を合意により解除した上、改めて遺産分割協議をすることは、法律上、当然には妨げられるも のではなく、~"

合意による解除とは、当事者の合意にもとづいて契約を解除することです。合意によって解除された遺産分割協議は無効で、遺産分割協議のやり直しができます。

 

相続人全員の合意があれば遺産分割協議はやり直しできるが、やり直しに時効はあるのでしょうか。

 

遺産分割協議のやり直しに時効はない

 

遺産分割協議をやり直しするのに時効はありません。当初の遺産分割協議が終わってから何年もたってからやり直しができます。逆に考えると、何年も経ってからあらたな相続人が現れたら遺産分割協議をやり直すことになりかねません。ただしそのような場合は、当時の遺産がそのままの状態で残っているとは限らないので、金銭のやり取りで解決するなどの方法が取られます。

 

以下の項目では、遺産分割協議をやり直すにあたっての注意点を解説します。

 

遺産分割協議をやり直すにあたっての注意点【贈与税・登記】

 

遺産分割をやり直すにあたっての注意点を、以下の2つのケースに分けて解説します。

  • 相続人全員の合意があった場合
  • 遺産分割が法的に無効な場合

①の「相続人全員の合意があった場合」で遺産分割協議をやり直すときは注意が必要です。遺産分割後のやり直しによる相続人間の財産の移動には、多額の税金がかかる可能性があるからです。

 

この点を以下で説明します。

 

相続人全員の合意があった場合

 

相続人全員の合意で遺産分割協議をやり直す場合は、その後の遺産分割で多くの税金が発生する場合があります。税法上は、遺産分割のやり直しという概念はないため、遺産分割後の財産の移動は、あらたな取引として贈与や譲渡と捉えられるからです。

 

つまり相続によって取得した財産を、あらためて贈与や譲渡などによって財産を移動したと考えるのです。したがって相続税をすでに納めている場合は、その相続税にくわえて贈与にかかる贈与税や譲渡による所得税などの税金を納めることになります。

 

さらに不動産を相続人の間で贈与する場合には、不動産取得税や不動産の登記かかる登録免許税をその取得者が負担しなければならなくなります。

 

この点について「国税庁相続税法基本通達19の2-8(分割の意義)」では、以下のように記載があります。

"共同相続人の全員が、既に成立している遺産分割協議の全部又は一部を合意により解除した上、改めて遺産分割協議をすることは、法律上、当然には妨げられるも のではなく、~"

相続財産のなかに不動産がある場合で、当初の遺産分割協議書で登記済みであれば不動産の登記を抹消し、あたらしい遺産分割協議書にもとづいて登記します。

 

登記がまだの場合はあらたに作った遺産分割協議書にもとづいて登記ができます。

 

遺産分割協議が法的に無効な場合

 

遺産分割協議書が法的に無効でやり直す場合は、遺産分割協議自体が無効で、最初からなかったものとされるので、贈与税や所得税、不動産取得税といった税金の心配はないでしょう。相続税の申告済みであれば修正申告や更生の請求によって対応します。

 

まとめ

 

遺産分割はやり直しできるのか、時効、注意点を見てきました。ポイントをおさらいすると以下のとおりです。

  • 法的に無効な遺産分割はやり直す必要がある法的に無効な遺産分割はやり直す必要がある
  • 有効な遺産分割でも相続人全員の合意があればやり直しできる
  • 遺産分割協議に時効はない
  • 有効な遺産分割をやり直せても分割に税金がかかる

 

相続人全員の合意があれば、遺産分割協議のやり直しを行うことができます。しかし遺産分割は非常に時間も労力もかかるので、二度とやりたくないと思う相続人もおられるでしょう。そのようななか相続人全員の合意を得るのは大変です。またあらためて多くの税金がかかるとなるとなおさらです。できるだけやり直しをしなくて済むように、当初の遺産分割協議で十分に話し合うことが大切です。

 

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