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こんにちは世田谷相続専門税理士事務所です。
正面だけではなく側方の路線にも接している宅地は、一方のみの路線に接している宅地と比べて、日当たりが良かったり、利用間口が広く出入りしやすかったりするため、価値は高くなります。財産評価基本通達ではその事実を土地の価額に反映させるために、側方路線影響加算の規定を定めています。
本記事は、側方路線影響加算の適用方法をひととおりお伝えします。
この記事の目次
側方路線影響加算とは
正面と側方の路線に接する宅地は、正面の路線のみに接する宅地の場合よりも利便性が高まるため、路線価に一定の率(側方路線影響加算率)を乗じて、評価額を調整します。
正面と側方の路線がある土地は、以下の①と➁の合計により1㎡当たりの価額を求めます
① 正面路線の路線価に奥行距離に応じた奥行価格補正率を乗じて求めた金額
➁ 側方路線の路線価を正面路線の路線価とみなして、その路線価に基づき奥行価格補正率を乗じて計算した価額に側方路線影響加算率を乗じて計算した金額
評基通 16 側方路線影響加算
側方路線に接する宅地は、以下の流れで評価します。
評価対象地の路線価を確認すると2つの道路に面する宅地であることが確認できます。
土地が2つ以上の路線に接する場合、まず正面路線を判定しなければなりません。
評価対象地が2つの路線に接している場合、「路線価 × 奥行価格補正率」で算定した1㎡当たりの価格が高い方を正面路線とします。
奥行価格補正後の路線価
a. 路線価 400,000円 × 奥行価格補正率 0.97(普通住宅地区、奥行距離8m)= 388,000円
b. 路線価 370,000円 × 奥行価格補正率 1.00(普通住宅地区、奥行距離15m)= 370,000円
a 388,000 > b 370,000円
aの路線の方がbより奥行価格補正後の金額が大きいので、aの路線が正面路線、bの路線が側方路線です。
路線価ではなく「路線価 × 奥行価格補正率」で計算した1㎡当たりの価格で正面路線を判定します。 奥行価格補正率の数値によっては、路線価の高い方の路線が正面路線とならないこともあります。
(奥行価格補正率表)
評価対象地の所在する地区区分と角地または準角地の区分に応じた側方路線影響加算率を側方路線影響加算率表から確認します。本事例は普通住宅地区、角地のため、側方路線影響加算率は0.03です。
(側方路線影響加算率表)
①正面の路線価400,000円 ×正面の奥行価格補正率0.97= 388,000円
➁側方の路線価370,000円 ×側方の奥行価格補正率1.00 × 側方路線影響加算率 0.03 =399,100円
(①+➁) × 地積 120㎡ = 47,892千円
評価明細書は以下のとおりです。
各路線価に所在する地区区分に対応する奥行価格補正率を乗じた後の、いずれか高い方の金額の路線を正面路線と判定します。なお角地または準角地の宅地で正面路線以外の路線を側方路線といいます。
地区区分(普通住宅地区)の同じ2以上の路線に接する宅地の場合です。
奥行価格補正後の金額
a. 路線価 610,000円 × 奥行価格補正率 1.00(普通住宅地区、18m) = 610,000円
b. 路線価 600,000円 × 奥行価格補正率 0.97(普通住宅地区、25m)= 582,000円
a 610,000円 > b 582,000円
よりaの路線が正面路線です。一方でbの路線が側方路線です。
地区区分の異なる2以上の路線に接する宅地の場合、それぞれの路線の路線価に各路線の存する地区に適用される奥行価格補正率を乗じて計算した金額をもとに判定します。
奥行価格補正後の金額
a. 路線価 3,000千円 × 奥行価格補正率 1.00(高度商業地区) = 3,000千円
b. 路線価 1,850千円 × 奥行価格補正率 0.95(普通商業・併用住宅地区) = 1,757千円
a 3,000千円 > b 1,757千円円
aの路線の方がbより奥行価格補正後の金額が大きいので、aの路線が正面路線です。bの路線は側方路線です。
ただし正面路線の判定後の評価は、正面路線の地区区分により側方路線の奥行価格補正率と側方路線影響加算率を決めます。評価額の計算は、後述する「地区の異なる2以上の路線に接する宅地の評価」の内容でお伝えしています。
なお各路線の地区に応じた奥行価格補正率を乗じて計算した金額が同じとなる場合、路線に接する距離の長い方の路線を正面路線とします。
角地は、正面と側方の2路線に接する宅地をいいます。
また準角地は、1路線の屈折部の内側に位置する宅地です。準角地の場合も角地と同じように、奥行価格補正後の価格の高いほうが正面路線になり、正面路線以外の路線が側方路線です。
なお上図の右側は、1路線の屈折部の外側に位置している宅地のため準角地に当たりません。側方路線影響加算はありません。
評価対象地が側方路線の一部にしか接していない場合、側方の効用を受けているのは側方路線に接している部分のみです。評価対象地が側方路線に接している割合に応じて側方路線影響加算率を調整します。
上図の場合、下記のように側方路線影響加算率に、30m/(10m+30m)を乗じます。
側方路線影響加算額の計算
側方路線価 800,000円 × 奥行価格補正率 1.00 × 側方路線影響加算率 0.08 ×30m/(10m+30m)=48,000円
なお評価する宅地が正面路線に部分的に接しない場合、正面路線に接する距離による調整計算は行いません。
質疑応答事例 側方路線に宅地の一部が接している場合の評価 - 国税庁
1つの側方路線に2つ以上の路線価が付されている場合、たとえば路線に接する部分の加重平均などにより、側方路線影響加算率の調整計算をします。
たとえば上図の場合、普通住宅地区で角地の側方路線影響加算率の0.03に「(6m+5m)/(6m+5m+8m)」を乗じて調整します。
たとえば上図の不整形地の場合、下記のように側方路線影響加算率に、40m/(10m+40m)を乗じます。側方路線を正面路線として描いた想定整形地の間口50mのうち、側方路線に実際に接している距離40mに応じた割合を調整します。
側方路線影響加算額の計算
側方路線価 60,000円 × 奥行価格補正率 0.91 × 側方路線影響加算率 0.03 × 40m/(10m+40m)=1,310円
質疑応答事例 8 側方路線影響加算の計算例-不整形地の場合
たとえば上図ように旗竿地の不整形地の場合は、側方路線影響加算率に25m/(25m+25m)を乗じます。1/2の50%の調整です。
たとえば上図のような屈折路の内側に接している不整形地の場合、側方路線影響加算率に9m/(9m+1m)を乗じます。側方路線を正面路線として描いた想定整形地の間口10mのうち、側方路線に実際に接している距離9mに応じた割合を調整します。
よって側方路線価部分の1㎡当たり価額は、以下の算式により計算します。
側方路線価370,000円 × 奥行価格補正率(17m) 1.00 ×側方路線影響加算率0.08 ×9m/(9m+1m)=26,640円
ここでは奥行距離を 「財産評価基本通20(2)の計算上の奥行距離」により算定しています。
(奥行価格補正率表)
正面路線と側方路線の地区区分が異なる場合、宅地の価額は、正面路線の地区区分にもとづく補正率を適用して評価します。すべて正面路線の地区の奥行価格補正率と側方路線影響加算額を適用して計算します。上図のケースでは、正面路線の高度商業地区のものを使って計算します。
正面路線価 3,000千円 ×「高度商業地区」の奥行価格補正率 1.00 + 側方路線価1,850千円 ×「高度商業地区」の奥行価格補正率 1.00 ×「高度商業地区」の側方路線影響加算率 × 0.10)×地積760㎡ =2,420,600千円
なお借地権の価額を評価する場合、正面路線と側方路線で借地権割合が異なるときは、原則、正面路線の借地権割合を適用して評価します。
質疑応答事例 地区の異なる2以上の路線に接する宅地の評価 - 国税庁
側方路線影響加算の必要がない場合です。
評価対象地が側方路線に接している場合であっても、上図のように他人が所有している角地の面積が大きく、角地としての効用を有していない場合、側方路線影響加算率の適用はありません。その代わりに二方路線影響加算率を適用して評価します。
質疑応答事例 2の路線に接する宅地の評価 - 国税庁
質疑応答事例 13 側方路線影響加算又は二方路線影響加算の方法-三方路線に面する場合
ただし他人が所有している角地の面積が小さく、角地が路線に接していないものの、角地としての効用を有していると考えられる場合、側方路線影響加算を適用します。
少し折れ曲がった路線に接している宅地で、実質的に角地としての効用を有していない場合、側方路線影響加算の適用は必要がありません。
財産評価基本通達では、角地や準角地の角度は定めていません。直角とは限らず鋭角や鈍角の場合もあります。何度から角地としての効用を有することとなり、側方路線影響加算の適用があるかは、実務上、角敷地における建蔽率の緩和(角地緩和)を受けられるかどうかを判断基準とすることがあります。
角地緩和とは、角地またはこれに準ずる敷地で自治体が指定するものの内にある建築物は、建ぺい率の上限が緩和されるものです。角地緩和の要件は自治体が建築条例などにより個々に定めていて、各自治体によって異なるため、役所の窓口で確認します。
評価対象地と側方路線との間に水路があり、評価対象地は側方路線に接していませんので、側方影響加算の必要ありません。
上図のA、B、C、Dの土地を評価するために特定路線価が設定される場合があります。正面路線に接するEとFの土地の評価に当たって、特定路線価にもとづく側方路線影響加算は行いません。
特定路線価は、あくまでA、B、C、Dの土地を評価するために設定されたものであるからです。
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