世田谷相続専門税理士事務所

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事業承継税制の適用を受けるためは?「会社の要件」7つを解説

会社の要件

こんにちは、世田谷相続専門税理士事務所です。

 

事業承継税制の適用を受けるためには、①会社、②先代経営者、③後継者の要件を、都道府県知事の認定を受ける必要があります。

 

本記事ではこのなかでも①会社の要件をピックアップしてお伝えします。会社の要件には、中小企業基本法等の中小企業者であることのほか、売上が計上されていること、従業員が1名以上いる会社であることなど、会社の事業実態を確認するためのものがあります。

 

本記事では、事業承継税制の適用を受けるために満たしておくべきこれらの会社の要件をお伝えします。

この記事の目次 

  • 会社の要件7つ
    要件①:中小企業者であること
    要件②:従業員数が1名以上であること
    要件③:総収入金額がゼロではないこと
    要件④:上場会社等ではないこと
    要件⑤:風俗営業会社ではないこと
    要件⑥:資産管理会社ではないこと
    特定資産とは
    資産管理会社の対象から除かれる事業実態の基準
    要件⑦:後継者以外の者がいわゆる黄金株を保有していないこと
    まとめ

会社の要件7つ

 
上場していない中小企業者であれば、無条件に事業承継税制の適用を受けられるわけではありません。事業承継税制の認定承継会社となるため、会社が贈与または相続のときに、つぎの要件すべてを満たす必要があります。
 
一つずつ確認していきます。
 
  • 要件①:中小企業者であること
  • 要件②:従業員数が1名以上であること
  • 要件③:総収入金額がゼロではないこと
  • 要件④:上場会社等ではないこと
  • 要件⑤:風俗営業会社ではないこと
  • 要件⑥:資産管理会社ではないこと(または事業実態要件を満たす)
  • 要件⑦:後継者以外の者がいわゆる黄金株を保有していないこと
一つずつ確認していきます。
 

要件①:中小企業者であること

中小企業者であること
(出典:中小企業庁 -経営承継円滑化法申請マニュアル 【相続税、贈与税の納税猶予制度の特例】)
 
まず中小企業者であること。
 
中小企業の定義は、経営承継円滑化法2条に定める業種によって資本金と従業員の要件が定められています。
 
資本金に準備金は含まれません。あくまで資本金で判定します。
 
資本金と従業員数が「又は」で接続されていますので、いずれかを満たせば認められます。たとえば卸売業では資本金が1億円以下または従業員数が100人以下とされています。従業員数が100人超の500人いても資本金が1億円以下であれば、中小企業とみなされます。
 
このように中小企業といっても、業種によっては資本金3億円、従業員数900人まで事業承継税制の対象とされていますので、比較的大きな会社もこの制度を利用できることがわかります。
 
中小企業者の範囲は、中小企業基本法上の中小企業者を基本とし、政令よりその範囲が拡大されています。
 
法人税法上の中小企業(資本金1億円以下の法人)とは位置づけが異なりますので、間違えないようにしてください。
 
会社とは、株式会社・特例有限会社・合同会社・合資会社・合名会社などが対象です。なお医療法人・社会福祉法人・監査法人・税理士法人などは対象外です。
 
個人事業主は事業承継税制の対象となる中小企業者には当りません。ただし個人事業主は、2019年度税制改正で導入された「個人版事業承継税制」を利用できます。
 

要件②:従業員数が1名以上であること

 
贈与または相続のときに常時使用する従業員が1名以上であることが要件です。
 
常時使用従業員は 、①社会保険(健康保険、厚生年金)の被保険者または ②所定の75歳以上の者でなければなりません。
 
①社会保険(健康保険、厚生年金)に加入している従業員
 
社会保険に加入している正社員・契約社員・パートは常時使用従業員に該当します。アルバイトは、社会保険の被保険者とされないため、該当してきません。
 
パート従業員の場合、中小企業では、1週間の所定労働時間および1ヶ月の所定労働日数が、正社員の4分の3以上になっている場合に社会保険への加入が義務付けられています(いわゆる4分の3基準)
 
したがって1日8時間のフルタイム勤務者なら週4日勤務で社会保険加入となります。逆をいえば、4分の3基準を満たさず社会保険に加入していないパートタイマーは常時使用従業員に含まれません。
 
②75歳以上の場合は社会保険に加入できませんので、2か月を超える雇用契約があれば、常時使用従業員として認められます。
 
常時使用する従業員に役員を含まれませんが、従業員としての身分もある役員、いわゆる使用人兼務役員は含まれます。
 
なお資産管理会社の場合で事業実態があるとみなされるためには、従業員が5名以上でなければなりません。下の「要件⑥:資産管理会社ではないこと」を参考にしてください。
 

要件③:総収入金額がゼロではないこと

 
業を行っている以上、売上が計上されていなければなりません。
 
直近の事業年度の損益計算書の総収入金額がゼロを超える、つまり売上が1円でも計上されていれば対象です。
 
総収入金額は、主たる事業活動から生ずるものに限られるため、営業外収益と特別利益を含まない金額で判定されます。たとえば営業外収益の利息の収入があっても、本業の売上が計上されていなのであれば事業活動をしているとはみなされません。
 
最終的な損益はとくに問題とされていませんので、赤字の会社であっても売上が計上されているのであれば認定の対象となってきます。
 
なお事業承継税制の適用を受けたときだけでなく、経営承継期間中の5年間、さらにその5年経過後も納税猶予が継続する限り、この条件を満たすことが求められます。売上が計上されなくなると納税猶予が取り消しとなってしまいます。
 

要件④:上場会社等ではないこと

 
上場企業は事業承継税制の対象になりません。
 

要件⑤:風俗営業会社ではないこと

 
風俗営業会社は事業承継税制の認定を受けられません。
 
ここでいう風俗営業会社とは風俗営業法に規定されている会社の意味ではなく、性風俗店を指します。キャバレー・バー・パチンコ店・ゲームセンターなどは風俗営業法の規制対象会社ですが、性風俗店ではありませんので認定要件を満たします。
 

要件⑥:資産管理会社ではないこと

資産管理会社の判定フロー
資産管理会社に該当すると、事業承継税制の適用を受けられません。
 
資産管理会社は2種類あります。
 
1つ目は、有価証券、自社で使用していない不動産、現預金といった特定資産の保有割合が貸借対照表の帳簿価額総額の70%以上の会社である資産保有型会社。
 
2つ目は、上のような特定資産からの運用収入が損益計算書の総収入額の75%以上の会社である資産運用型会社です。
 
資産保有型会社と資産運用型会社を総称して資産管理会社と呼びます。
 
(資産管理会社)
* 資産保有型会社・・・特定資産の保有割合が貸借対照表の帳簿価額総額の70%以上の会社
* 資産運用型会社・・・特定資産からの運用収入が損益計算書の総収入額の75%以上の会社
 
つまり資産管理会社は事業活動よりも資産から得られる収入を目的として運営されている会社です。不動産の家賃・株式の配当・預金利息などの収入で成り立っている会社であり、事業実態がないとされる場合には、事業承継税制の支援の対象から除かれています。
 
事業実態のないこれらの会社には納税してもらうとの法律の趣旨です。
 

特定資産とは

 
特定資産は、経営承継円滑化法施行規則に定められている、以下の①から⑤までの合計です。
  • ①有価証券(※1)
  • ②現に自ら使用していない遊休不動産・販売用不動産・賃貸用不動産(※2)
  • ③ゴルフ会員権、スポーツクラブ会員権、リゾート会員権などの施設利用権
  • ④絵画・彫刻・工芸品・骨董品など道産、金・銀などの貴金属、ダイヤモンドなどの宝石
  • ⑤現金、預貯金
※1 有価証券からは「実質的な子会社株式」(非上場かつ事業実態のある子会社の株式)が除かれます。事業を行っている会社の株式は、特定資産から除外されています。
 
※2 不動産からは自社利用の不動産は除かれます。また社宅のうち従業員が使用するものは自ら使用となりますが、役員が使用するものは特定資産とみなされます。
 
わかりやすくいうと本業と関係のない資産ですね。
 

資産管理会社の対象から除かれる事業実態の基準

事業実態要件
ただし資産管理会社でも不動産会社の事業や商品販売といった事業実態があると事業承継税制の対象です。
 
事業実態としては①従業員が5名以上、②事業活動を行う事務所などを所有または賃借りしている、③商品販売等を3年以上行っている、の3つの要件すべてを満たしている場合です。
(事業実態要件)・・・すべてに該当すること
  • ①常時使用する従業員が5名以上(厚生年金保険や健康保険の被保険者等で判定。後継者と同一生計親族の親族を除く)
  • ②事務所・店舗・工場などを所有または賃借りしている
  • ③3年以上、商品販売等(商品の販売・資産貸付け・役務提供など)の対価を得て行っている

①従業員が5名以上

①贈与または相続のときに、資産管理会社の常時使用する従業員の数が、5名以上であること。
 
従業員は原則として社会保険加入者でなければなりません。社会保険加入者であればパート従業員もこの5名に含めてもかまいません。ただし社会保険加入者でも社長や後継者(受贈者または相続人)や後継者の生計一親族を除きます。
 
事業実態要件の3つのなかでもこの5名以上というのは非常にハードルが高いです。現在、6名・7名の従業員がいるからうちの会社は大丈夫と考えるのは早計です。
 
今年、来年だけでなく、20年後、30年後を見据えて考えなければなりません。20年後、30年後もこの従業員5名を維持できるのかを慎重に判断しなければなりません。
 

②事業活動を行う事務所などを所有または賃借りしている

②贈与または相続のときに資産管理会社の従業員が勤務している事務所・店舗・工場など、必要な固定の施設を所有または第三者から賃借りしていることが必要です。
 

③商品販売等を3年以上行っている

③贈与または相続のときまでに、引き続き3年以上継続して事業活動をしていること。
 
後継者の要件に役員就任後3年以上経過していることがありました。同じような内容で贈与または相続のときまでに遡って3年間、事業を行っている実績が必要です。
 
「商品販売当等」には、不動産業のように資産の貸し付けやサービスの提供も含まれます。しかし後継者(受贈者または相続人)への貸付け等や同族関係者に対する貸付け等を除きます。
 
このように資産管理会社に該当すると事業承継税制の対象になりませんが、一定の要件を満たして事業実態がある会社と判断された場合は適用できます。
 
なお事業承継税制の適用を受けられることとなっても、その後の経営承継期間(贈与、相続)の5年間だけでなく、その5年経過後も納税猶予が継続する限り、資産管理会社に該当しないことの要件を満たさなければなりません。
 
資産管理会社に該当することとなると納税猶予が取り消しになり、納税しなければなりませんので十分に注意が必要です。
 
資産管理会社と特定資産の内容は以下の関連記事で取り上げていますので参考にしてください。
 

要件⑦:後継者以外の者がいわゆる黄金株を保有していないこと

 

中小企業者が拒否権付種類株式、いわゆる黄金株を発行している場合には、贈与・相続開始のとき以後に、その黄金株を後継者以外の者が持っていないことが要件です。

 

黄金株は拒否権付きと名前が付いているように、株主総会の決議を拒否できる権利が付されている株式です。

 

本来は後継者がまだ経営者として一人前でないときに、先代経営者が黄金株を1株保有しておき、後継者が総会決議で暴走しはじめたときに、拒否権を発動し暴走を阻止するためのものです。

 

後継者が黄金株を持っている場合は、自分が自分を否定しないので問題となりません。しかし後継者以外の者が持っている場合は、不当な拒否権を発動することにより、円滑な事業の承継の妨げになることが考えられるからですね。

 

まとめ

 

事業承継税制の適用を受けられる会社の要件を以下の7つ紹介しました。事業承継税制の認定承継会社となるためには、会社が贈与または相続のときに、つぎの要件すべてを満たす必要があります。

  • 要件①:中小企業者であること
  • 要件②:従業員数が1名以上であること
  • 要件③:総収入金額がゼロではないこと
  • 要件④:上場会社等ではないこと
  • 要件⑤:風俗営業会社ではないこと
  • 要件⑥:資産管理会社ではないこと(または事業実態要件を満たす)
  • 要件⑦:後継者以外の者がいわゆる黄金株を保有していないこと

事業承継税制は中小企業の後継者問題の対策の一つとして設けられた制度です。事業承継税制は自社株式の納税を免除できるメリットもありますので、自社が上記の会社の要件を満たすようであれば、ぜひ活用を検討してみてください。

 

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