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こんにちは世田谷相続専門税理士事務所です。
市街地周辺農地は、農地転用の許可申請をすれば、原則、農地転用が認められます。市街地農地と異なり市街地周辺農地は、未だ現実に許可を受けていない農地です。この点を考慮して、市街地周辺農地の価額は、農地が市街地農地であるとした場合の価額の100分の80に相当する金額によって評価すると規定されています。
本記事では、市街地周辺農地の相続税評価をお伝えします。
この記事の目次
市街地周辺農地とは
財基通36-4 市街地農地の範囲、No.4623 農地の評価|国税庁
農地の価格は、その農地の転用許可などの可能性に応じて取引価格に格差が生じます。評価通達は、転用許可の難易度の程度に応じて農地の評価上の区分を定めています。市街地周辺農地の第3種農地は、駅などからおおむね300m以内にある農地、市街地のなかに介在する農地などで、原則、農地等以外への転用が許可されている農地です。
評価対象地が市街地周辺農地かどうかは、国税庁の公開している評価倍率表により調べます。
たとえば東京都の評価倍率表は、こちら(令和4年分 財産評価基準書 東京都 (評価倍率表 )|国税庁)から確認できます。
評価倍率表の枠で囲った部分に「周比準」との記載があれば市街地周辺農地です。なお「比準」とあれば市街地農地、「純」とあれば純農地、「中」とあれば中間農地です。
市街地周辺農地と市街地農地の違いは、宅地等への転用の際に許可等が必要かどうかです。
市街地周辺農地は、原則、農地等以外への転用が許可される地域にありますが、まだ転用の許可を受けていない農地です。一方で市街地農地は、①宅地等への転用許可を受けたものや、②農業委員会に届け出るだけで転用できるものや、③転用許可が必要のないものです。
農地は、上図のように耕作の単位となっている1区画の農地である1枚の農地を評価単位とします(原則的評価)。
ただし市街地農地・市街地周辺農地・生産緑地は、上図のようにそれぞれ利用の単位となっている一団の農地を1つの評価単位とします(例外的評価)。つまり宅地と同じように評価単位を判定します。
原則どおり1枚の農地(耕作の単位となっている1区画の農地)ごとの単位とすると、地の効用を得られない規模や形状により農地を評価することになるからです。
なお農地の一部が生産緑地に指定されているときには、生産緑地とそれ以外の部分を区分して、それぞれの部分を利用の単位となっている一団の農地として評価します(例外的評価)。
市街地周辺農地の価額は、その農地が市街地農地であるとした場合の価額の100分の80に相当する金額によって評価すると規定されています。
これは前述のとおり市街地周辺農地は、宅地転用が許可される地域の農地ではあるものの、現実に許可を受けていない点を考慮したものです。
財基通39 市街地周辺農地の評価
市街地農地の価額は、宅地比準方式または倍率方式のいずれかの方法により評価します。
市街地農地の価額は、「農地が宅地であるとした場合の1㎡当たりの価額」から、その農地を「宅地に転用する場合において通常必要と認められる1㎡当たりの造成費」を控除し、その控除した残額に地積を乗じて計算した金額によって評価します。
「農地が宅地であるとした場合の1㎡当たりの価額」は、路線価地域では路線価により、倍率地域では評価しようとする農地に最も近接し、かつ、用途、道路からの距離や形状等が最も類似する宅地の評価額(固定資産税評価額×倍率)をもとに画地調整を計算します。
「宅地転用に必要な1㎡当たりの造成費の金額」は、毎年、各地域の国税庁から発表される「宅地造成費の金額表」を用いて計算します。整地、土盛りまたは土止めに要する費用の額が、おおむね同一と認められる地域ごと、年分ごとに各国税局長が定めます。
市街地農地が倍率地域にあり、評価倍率表で倍率が定められている場合、市街地農地の価額は、その農地の固定資産税評価額に倍率を乗じて計算した金額によって評価します。
市街地農地の評価方法は、くわしくは以下の記事で解説しています。倍率地域にある市街地農地の評価方法はこちらで記載していますので、参考にしてみてください。
以下は路線価地域にある市街地農地の評価方法の具体例です。
市街地周辺農地の相続税評価の具体例を一つお伝えします。
市街地周辺農地を宅地比準方式または倍率方式で評価するかは、路線価図または評価倍率表に記載されている方法によります。本事例では評価倍率表の宅地の欄に「路線」とありますので、路線価地域の農地であることがわかります。
①宅地であるとした場合の1㎡当たりの価額
路線価100,000円 × 奥行0.84 = 84,000円
路線価地域にある農地は、宅地比準方式により評価します。評価対象地は路線価地域にあるため、「宅地であるとした場合の1㎡当たりの価額」は、路線価をもとに計算します。路線価地域の普通住宅地区に所在する市街地農地は、普通住宅地区の地区区分にもとづく画地調整率を用いて計算します。
➁1㎡当たりの宅地造成費
現地調査の結果、平坦地であり、宅地造成には敷地全体に整地と土留め、また擁壁面に土止が必要なことがわかりました。
1㎡当たり宅地造成費は、以下のとおりです。ここでは令和4年分の東京国税局のものを用います
整地費:整地面積5,600㎡ × @800円 = 4,480,000円
土盛費:土盛面積5,600㎡ × 平均高さ0.6m × @7,200円 = 24,192,000円
土止費:擁壁面220m × 平均高さ0.6m × @76,600円 =10,111,200円
計 38,783,200円
1㎡当たり宅地造成費 6,925円
③評価額
(宅地であるとした場合の1㎡当たりの価額84,000円 - 1㎡当たり宅地造成費 6,925円) × 総地積5,600㎡ =431,620,000円(農地が市街地農地であるとした場合の価額)
431,620,000円 ×0.8 =345,296,000円
評価明細書は以下のとおりです。
市街地周辺農地が、地積規模の大きな宅地の評価の適用対象となる場合、規模格差補正を適用できます。しかし以下のような理由により、戸建住宅用地としての分割分譲が想定されない場合、「地積規模の大きな宅地の評価」の適用対象にはなりません。
多額の造成費用が必要であり経済的合理性から宅地への転用が見込めない
急傾斜地などで宅地への造成が不可能であり、物理的に宅地への転用が見込めない
法律、条例などで造成が制限されている
たとえば上の事例に地積規模の大きな宅地の評価を適用した場合、市街地周辺農地の評価額は、232,400,000円です。
計算過程は、以下の評価明細書をご確認ください。
市街地周辺農地にかかわる留意点です。
物理的または経済的合理性の観点などから宅地への転用が困難と認められる市街地(周辺)農地は、近隣の純農地(評価対象地から距離的に最も近い場所にある純農地)から比準して評価することが相当と考えられます。たとえば多額の造成費が見込まれるため、宅地比準方式により評価額を計算するとマイナスとなるような場合が考えられます。
宅地比準方式
(路線価10,000円 × 画地調整1.0 -宅地造成費12,000円) ×500㎡ =△ 1,000,000円(マイナス)
上記のように宅地比準方式に計算すると、造成費の金額が大きいため、計算結果はマイナスです。
純農地の評価額
固定資産税評価額20円 × 倍率25 ×地積500㎡ =250,000円
近傍の純農地の価額を比準して評価します。市街地農地でも市街地周辺農地のいずれでも、同じ価格となります。
これは財基通49市街地山林の評価の宅地への転用が見込めないと認められる市街地山林の評価の規定が、市街地農地にも準用されています。
評価対象地が宅地比準方式により評価することとなる市街地農地等の場合、セットバックの適用があります。このような対象地は、宅地として使用する場合、セットバックが建築条件となることから、セットバックを必要とする宅地の評価の考え方を準用します。
市街地周辺農地が特別警戒区域内にある場合、土砂災害特別警戒区域内にある宅地の評価の適用対象となります。市街地周辺農地が特別警戒区域内にある場合、宅地としての利用が制限され、減価が生じることになるからです。
地積規模の大きな宅地の評価を適用できる地目は宅地だけではありません。将来、宅地化が想定される可能性の高い農地(田畑)、山林、雑種地の宅地比準方式で評価する土地にも適用できます。
ただし以下の利用により、戸建住宅用地としての分割分譲が想定できず、純農地、純山林、純減やとして評価するような土地は、適用対象となりません。
① 宅地への転用に多額の造成費を要するため、経済合理性の観点から
② 急傾斜地など宅地への造成が物理的に不可能であるため
③ 法律、条例などで造成が制限されている
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