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こんにちは世田谷相続専門税理士事務所です。
都市部の幹線道路沿いに店舗が建ち並ぶ路線商業地域では、道路沿いの容積率が高く、その背後の容積率は低くなっていることがあります。路線価は、道路沿いの土地の収益性を基準に定められています。評価対象地が容積率の高い道路沿いの地域から奥側の低い地域にまたがって所在している場合、正面路線の路線価だけを評価対象地の全体に対して適用してしまうと、適正な宅地の評価ができません。
そこで評価対象地が容積率の異なる地域にわたっている場合、一定の金額を控除して評価額を計算する規定が設けられています。本記事では、容積率の異なる2以上の地域にわたる宅地の評価方法を一通りお伝えします。
この記事の目次
容積率の異なる宅地とは
宅地等の取引価額は、その宅地の上にどの程度の規模の建物が建てられるかが決定要因の一つです。容積率は、敷地面積に対する建築物の延べ面積の割合のことをいい、土地の上の空間をどれだけ効率よく利用できるかを示す指標です。容積率の大小は宅地を評価する上で、考慮しなければなりません。
路線価は、各地域の容積率を十分に加味して反映したものとなっています。しかし1画地の宅地が容積率の異なる2以上の地域にわたって所在する場合、その宅地の正面路線に面する地域の容積率と異なる容積率の部分を有しているという個別的な要因が、土地の評価額に反映されません。
そこで容積率の異なる2以上の地域にわたる1画地の宅地について、容積率の違い(格差)による個別的な事情(影響度)を減額調整する評価方法が規定に定められています。
評価方法
容積率の異なる2以上の地域にわたる宅地の価額は、15((奥行価格補正))から前項までの定めにより評価した価額から、その価額に次の算式により計算した割合を乗じて計算した金額を控除した価額によって評価します。この場合に適用する「容積率が価額に及ぼす影響度」は、14-2((地区))に定める地区に応じて下表のとおりとします。
この計算を行うにあたっては、次の点に留意します。
①小数点以下第3位未満を四捨五入する。
➁正面路線に接する部分の容積率が他の部分の容積率よりも低い宅地のように、この算式により計算した割合がマナイスとなるときは適用しない。
③2以上の路線に接する宅地について正面路線の路線価に奥行価格補正率を乗じて計算した価額からその価額に上記算式により減額調整した価額が、正面路線以外の路線の路線価に奥行価格補正率を乗じて計算した価額を下回る場合、高い価額となる路線を正面路線とみなして計算した価額により評価します。なお奥行価格補正からがけ地等の評価までの定めの適用については、正面路線とみなした路線の地区に定める地区区分による。
評基通20-7 容積率の異なる2以上の地域にわたる宅地の評価
容積率の異なる2以上の地域にわたる宅地の評価を具体例により確認します。
都市計画図などにより用途地域、容積率を調べます。市区町村の役所で都市計画図を確認できますが、インターネットで都市計画図を確認できる市区町村もあります。たとえば世田谷区では、世田谷区都市計画図のリンク先にあるPDFにより都市計画図を閲覧できます。また電子地図データベースのせたがや i-map - 地図 -では都市計画情報を一覧で確認できます。
役所の建築指導課などで道路図面を入手し、評価対象地が接する道路の幅員等を確認します。あわせて道路種別の確認を行います。世田谷区では、せたがや i-mapの 道路現況平面図でも道路幅員も確認できます。
なお最終的には役所の窓口でのヒアリングをお勧めします。
上図の事例は、北側は商業地域で指定容積率500%、南側は第1種中高層住居専用地域の指定容積率200%であり、容積率の異なる2以上の地域にわたる宅地に当たります。
容積率は、敷地面積に対する建築物の延べ面積の割合です。容積率には、都市計画法で用途地域別に定めた①指定容積率と、建築基準法独自の➁基準容積率の2種類があります。建物を建築する場合に適用される容積率は、①指定容積率と➁基準容積率のうちいずれか小さい方です。
①指定容積率は、都市計画によって定められています(建築基準法52➁)。
➁基準容積率は、前面道路の幅員が12m未満の場合、次の算式により計算します。
「前面道路幅員(m) × 下表の定数」
定数は、住居系の用途地域の場合4/10、その他(商業系・工業系)の用途地域の場合6/10です。前面道路の幅員が12m以上の場合、指定容積率がそのまま容積率となります。なお前面道路幅員が4m未満の2項道路の場合、幅員を4mとして計算します。
たとえば評価対象地の状況が以下の場合、容積率は160%です。
①指定容積率:200%
用地地域:第1種低層住居地域
前面道路:2項道路の3.6m
➁基準容積率=4.0m × 4/10 =160% < ①指定容積率200% ∴160%
「容積率の異なる2以上の地域にわたる宅地」では、①指定容積率か➁基準容積率のいずれか小さい方を評価の指標とします。「都市計画道路予定地の区域内にある宅地」の評価でも同じです。しかし地積規模の大きな宅地の判定では、①指定容積率を用います。
前面道路の幅員と用途地域から容積率を求めます。
具体的には、指定容積率と基準容積率を比べて小さい方を各用途地域の容積率とします。
商業地域部分
道路幅員8m × 前面道路による制限 6/10 = 基準容積率480% < 指定容積率500% ∴480%
第1種中高層住居専用地域部分
道路幅員8m × 前面道路による制限4/10 = 基準容積率320% > 指定容積率200% ∴200%
質疑応答事例 容積率の異なる2以上の地域にわたる宅地の評価(1)
容積率が価額に及ぼす影響度は、普通商業・併用住宅地区の「0.5」です。
次の計算式により減額調整率を計算します。
減額調整後の評価額の計算は以下のとおりです。
路線価425,010円 × 奥行0.93 × 減額率(1 ー 0.088) × 地積1,000㎡ = 424,080,000円
本事例の評価明細書は以下のとおりです。
容積率の異なる2以上の地域にわたる宅地の評価減が適用されないケースをお伝えします。
1画地の宅地が2以上の容積率(200%、400%)の異なる地域にわたる場合であっても、上図のように、その正面路線に接する部分の容積率(200%)が、他の部分の容積率(400%)よりも低い場合、減額調整を行いません。
1画地の宅地の正面路線に接する部分の容積率が2以上(400%、300%)であるものの、上図のように、その正面路線に接する部分の容積率(400% or 300%)と異なる容積率の部分がない場合、減額調整を行いません。
質疑応答事例 容積率の異なる2以上の地域にわたる宅地の評価(2)
1画地の宅地が2つの用途地域をまたぎ、上図のように、その正面路線に接する部分の容積率(300%)と正面路線に接しない部分の容積率が同じ場合(300%)、減額調整を行いません。
容積率の異なる2以上の地域にわたる宅地の評価減の留意点をお伝えします。
評価対象地の正面路線に接する部分の容積率が2以上(500%、400%)であり、上図のように、その正面路線に接する部分の容積率(400%)と異なる容積率の部分(300%)がある場合、異なる容積率の部分との違いによる減額調整を行います。
この場合、容積率500%地域は、容積率400%地域と一体であるものとして扱い、容積率400%地域と容積率300%地域との格差の調整計算を行います。
① 容積率の格差に基づく減額率
➁ 減額調整後の価額
路線価250,000円 × 奥行1.00 ー (路線価250,000円 × 奥行1.00 × 減額率0.021) = 244,750円
③ 評価額
244,750円 × 600㎡ = 146,850,000円
質疑応答事例 容積率の異なる2以上の地域にわたる宅地の評価(2)
評価対象地が2以上の路線に面する場合に、正面路線の路線価に奥行価格補正と容積率の格差による減額調整を行った価額が、正面路線以外の各路線の路線価に奥行価格補正を行った価額のいずれかを下回るとき、容積率の格差による減額調整の適用はありません。
この場合、正面路線以外の各路線の路線価について、それぞれ奥行価格補正を適用した価額を算定します。そのうち最も高い価額となる路線を正面路線とみなして各種の画地補正を行い、宅地を評価します。奥行価格補正等を行うに当たっては、正面路線とみなした路線の地区区分によります。
質疑応答事例 容積率の異なる2以上の地域にわたる宅地の評価(2)
たとえば上図のように1画地の宅地が二方の路線に接する場合、正面路線の路線価に奥行価格補正率と容積率の格差による減額調整を行った価額(下記➁ 499,800円)が、裏面路線の路線価に奥行価格補正した価額(下記③ 500,000円)を下回ります。この場合、容積率の格差による減額調整の適用はありません。
① 容積率の格差に基づく減額率
➁ 正面路線の路線価に奥行価格補正率を乗じて計算した価額に容積率の格差による減額調整を行った価額
路線価600,000円 × 奥行1.00-(路線価600,000円 × 奥行1.00 × 減額率0.167)=499,800円
③ 裏面路線の路線価に奥行価格補正率を乗じて求めた価額
路線価500,000円×奥行1.00=500,000円
④ ➁ 499,800円<③ 500,000円となるため、容積率の格差による減額調整の適用はありません。裏面路線を正面路線とみなして、その画地の評価額を求めます。奥行価格補正等の画地調整を行う場合、正面路線とみなした裏面路線の地区区分である「普通住宅地区」によります。正面路線の「普通商業・併用住宅地図」にはよりません。
⑤ 評価額
路線価500,000円 × 奥行1.00 +路線価600,000円 ×奥行1.00 × 二方0.02 × 600㎡ = 307,200,000円
ひとつ上の項目で、正面路線の路線価に奥行価格補正と容積率の格差による減額調整を行った価額が、正面路線以外の各路線の路線価に奥行価格補正を行った価額のいずれかを下回る場合を紹介しました。ここでは反対に下回らない場合の容積率の異なる2以上の地域にわたる宅地の評価をお伝えします。なお指定容積率の方が基準容積率よりも小さいものとします。
① 容積率の格差に基づく減額率
➁ 評価額
(路線価700,000 × 奥行0.99 + 裏面路線価400,000 × 奥行 0.99 × 二方0.05)× (1ー0.05)×地積250㎡ = 169,290,000円
財産評価基本通達24-7(都市計画道路予定地の区域内にある宅地の評価)に定める補正率表で適用する場合の「容積率」の論点です。
容積率の異なる2以上の地域にわたる宅地の一部が都市計画道路予定地の区域内となっている場合があります。この場合の「容積率」は、宅地全体の容積率、すなわち各容積率を加重平均して計算した容積率です。都市計画道路予定地に係る部分の容積率ではありません。
したがって上図の宅地の容積率は、以下のとおり230%となります。
①地区区分
普通住宅地区
②容積率の計算
(第1種中高層住居専用地域)
道路幅員6m × 4/10 =基準容積率240% <指定容積率300% ∴容積率240%
(第1種低層住居専用地域)
道路幅員6m × 4/10 =基準容積率240% >指定容積率200% ∴容積率200%
各容積率を加重平均して求められる容積率
③地積割合
都市計画道路計画線区域100㎡/総地積600㎡=16.66%
④補正率
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