
この記事の要点
各相続人などの相続税を計算するときに、一定の要件の下、相続税から贈与税控除、配偶者の税額軽減、未成年者控除、障害者控除、相次相続控除、外国税額控除などの各種の税額控除が認められています。
本記事ではこれらの各種の税額控除について、要件、計算式やポイントなど概要をお伝えします。
各相続人などの納める相続税は、算出相続税額から個々の事由に応じた税額控除を行います。税額控除は、相続税と贈与税の二重課税の排除や、その相続人等の人的な事情などにより設けられています。
税額控除には、つぎのものがあります。
一つずつお伝えしていきます。
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暦年課税分の贈与税額控除は、相続、遺贈や相続時精算課税制度にかかる贈与によって財産を取得した人に、相続開始前3年以内に被相続人から贈与を受けた贈与財産に課された贈与税がある場合、その人の相続税から贈与税額を控除する制度です。
相続開始前3年以内の贈与財産が生前贈与加算の対象とされることによる相続税と贈与税の二重課税を排除するために設けられています。
適用できる人・要件
控除できる金額
加算する年分ごとに、つぎの算式により計算した金額の合計額を控除します。
| 贈与税額控除の算式 | |||
|---|---|---|---|
|
ポイント
生前贈与加算は、110万円以下の贈与でも足し戻されます。7年への延長(経過措置)と加算されない人の範囲を解説しています。3年以内の生前贈与加算って何?基礎知識をわかりやすく解説
贈与税の申告を忘れていた贈与や、おしどり贈与を使った贈与の按分計算など、細かい論点まで計算例で追えます。わかりやすく解説!暦年課税分の贈与税額控除の使い方と注意点

配偶者の税額軽減は、被相続人の配偶者の実際に取得した遺産額が「課税価格の合計額 × 配偶者の法定相続分」または「1億6,000万円」のいずれか大きい金額まで、相続税がかからない制度です。
被相続人の亡くなった後の配偶者の生活保障や、被相続人の財産形成への配偶者の寄与などを考慮して配偶者の税額軽減は設けられています。
適用できる人・要件
控除できる金額
控除額は、つぎの算式により計算した金額です。
| 配偶者の税額軽減額の算式 | |||
|---|---|---|---|
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ポイント
ポイントの最後には気をつける必要があります。
たとえば相続人が配偶者、長男、二男の3人、被相続人の相続財産は、1億5,000万円のケース。配偶者が相続財産の全部を相続するか、少な目の法定相続分を相続するかで、一次相続と二次相続の相続税の合計額は698万円もの差が生じます。
| 二次相続シミュレーション | すべて相続 | 50%の相続 |
|---|---|---|
| 一次相続 | 0 | 747万円 |
| 二次相続 | 1,840万円 | 395万円 |
| 合計 | 大 1,840万円 | 小 1,142万円 |
698万円の差
配偶者の相続割合に応じた一次相続・二次相続にかかる相続税の推移を示したものが下のグラフです。
| 配偶者の 相続割合 | 配偶者の 取得財産(千円) | 一次相続時の 納付税額 | 二次相続時の 納付税額 | 納付税額合計 |
|---|---|---|---|---|
| 0% | 0 | 14,950 | 0 | 14,950 |
| 10% | 10,000 | 13,455 | 0 | 13,455 |
| 20% | 20,000 | 11,960 | 0 | 11,960 |
| 30% | 30,000 | 10,465 | 300 | 10,765 ← 最小 |
| 40% | 40,000 | 8,970 | 1,800 | 10,770 |
| 50% | 50,000 | 7,475 | 3,950 | 11,425 |
| 60% | 60,000 | 5,980 | 6,200 | 12,180 |
| 70% | 70,000 | 4,485 | 8,600 | 13,085 |
| 80% | 80,000 | 2,990 | 11,600 | 14,590 |
| 90% | 90,000 | 1,495 | 14,600 | 16,095 |
| 100% | 100,000 | 0 | 18,400 | 18,400 |
一次相続で配偶者が被相続人の相続財産のうち30%を相続した場合が、一次相続と二次相続のトータルの相続税をもっとも少なくできます。
配偶者の税額軽減は、未分割の場合の手続きや申告要件でつまずきやすい制度です。要件から計算例まで通して確認できます。相続税の配偶者控除って知ってる?節税のポイントとデメリット
一次相続で配偶者に寄せると二次相続で子の負担が増えることがあります。遺産額のパターン別に有利な分け方を試算しています。相続税は配偶者と子供でどう分けると得か|配偶者控除の使いすぎで二次相続が増える理由

未成年者控除は、相続人が18未満※の場合、その人の相続税から一定の金額を控除できる制度です。
※民法改正により成年年齢が20歳から18歳に引き下げられています。それに伴い2022年(令和4年)4月1日以後の相続等から未成年者控除の年齢要件が満20歳に達するまでから満18歳に達するまでに引き下げられました。
未成年者が成年になるまで養育費がかかる負担に配慮して設けられています。
適用できる人・要件
相続または贈与により財産を取得した人で、つぎのすべての要件を満たすものに適用があります。
控除できる金額
| 未成年者控除額 |
|---|
| 10万円 ×(18歳 - その未成年者の年齢(1年未満切捨て)) |
控除額は、10万円に相続開始日からその人が満18歳に達するまでの年数を掛けて計算した金額です。
たとえば未成年者が17歳の場合、以下のように10万円が未成年者控除額と計算できます。
ポイント
過去に未成年者控除を使っていると、今回の控除額は前回の控除不足額が上限になります。改正をまたぐ場合の計算をケース別に解説しています。18歳未満に引き下げに!相続税の未成年者控除を上手に使おう

障害者控除は、相続、遺贈や相続時精算課税にかかる贈与により財産を取得した人が、障害者かつ相続人の場合、その人の相続税から、一定の金額を控除できる制度です。
障害者は、健常者よりも生活費が必要となるといった特殊な事情に配慮し規定が設けられています。
控除できる人・要件
相続または贈与により財産を取得した人で、つぎのすべての要件を満たすものに適用があります。
障害者の範囲
障害者とはたとえば以下のような人をいいます。
| 障害者の一例 |
|---|
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控除できる金額
| 障害者控除額 |
|---|
| 10万円(特別障害者20万円)×(85歳 - その障害者の年齢(1年未満切捨て)) |
控除額は、10万円(特別障害者は20万円)に相続開始日からその人が満85歳に達するまでの年数を掛けて計算した金額です。
ポイント
障害者控除は「10万円×85歳までの年数」と大きく、扶養義務者の相続税からも引けます。申告自体が不要になる場合も解説しています。障害者控除で相続税が軽減!申告不要のケースもあるって本当?

相次相続控除は、今回の相続(二次相続)開始前10年以内に、被相続人が相続、遺贈や相続時精算課税にかかる贈与により財産を取得し相続税が課せられた場合(一次相続)、二次相続の被相続人から相続、遺贈や相続時精算課税にかかる贈与により財産を取得した人の相続税から一定の金額を控除する制度です。
短期間に重ねて相続が開始した場合、同じ財産に何回も相続税が課されます。短期間に重ねて相続があった場合と、長期間にわたって相続があった場合との税負担の調整を図るため相次相続控除が設けられています。
適用できる人・要件
ポイント
控除できる金額
控除額は、つぎの算式により計算した金額です。
| 相次相続控除の算式 | |||||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
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相次相続控除は、前回の相続からの経過年数で控除額が1年ごとに減っていきます。記載例つきで計算方法を確認できます。相次相続控除ってどういうもの?記載例付きでわかりやすく解説!

外国税額控除は、相続、遺贈や相続時精算課税にかかる贈与により外国の財産を取得したため、国外の財産に外国で相続税に相当する税金が課されたとき、その人の相続税から一定の金額を控除する制度です。
相続などにより取得した国外財産は、日本の相続税が課されるだけでなく、その国の法令による相続税などが課されることがあります。国外財産に日本とその国の税金が二重に課税されることとなるため、税額を調整するため、外国税額控除が設けられています。
適用できる人・要件
国外財産を取得した人が以下の要件を満たしている必要があります。
控除できる金額
控除額は、つぎの算式により計算した金額です。
| 外国税額控除の計算式 | |||
|---|---|---|---|
| ① 外国で課せられた税額
②
③ ①か②のいずれか少ない金額 |
ポイント
外国で課された税額と控除限度額のどちらか少ない方が控除額になります。円換算のルールや配偶者が使えない場合の工夫まで解説しています。外国との二重課税を防ぎ相続税を減らす!外国税額控除の使い方
相続時精算課税分の贈与税額控除は、相続時精算課税適用者に相続時精算課税適用財産に課された贈与税がある場合、その人の相続税からその贈与税に相当する金額を控除する制度です。
適用できる人・要件
控除できる金額
相続時精算課税の適用を受けて課せられた贈与税額を控除します。
ポイント
相続時精算課税を選んだ贈与は、年数の縛りなくすべて相続財産に加算されます。贈与税が還付される場合の計算まで解説しています。相続時精算課税制度で贈与者が死亡したときの相続税の計算方法
医療法人の持ち分を相続や遺贈により取得し、相続開始のときから相続税額の申告期限までに放棄した場合で、一定の要件を満たすときに、放棄した持分の額に対応する部分の相続税額に相当する金額を控除できます。
相続税の税額控除はつぎの順序により行います。
①から⑥までの税額控除を順番に控除していき相続税がマイナスになる場合は、納める相続税はゼロです。①から⑦までで相続税から控除しきれない金額がある場合、相続税の還付を受けられます。
⑧ 医療法人持分税額控除について、①から⑦まで計算していき相続税額に残額があるときは、その金額を限度として控除できます。相続税額がゼロまたは控除しきれない金額があるときは、医療法人持分税額控除額はゼロです。
相続税の計算上、税額控除以外の控除に基礎控除と債務控除があります。
相続税の計算上、基礎控除額は相続税の課税最低限の価額です。課税価額の合計額(遺産総額)が基礎控除以下の場合、相続税は課税されず、相続税の申告も不要です。
基礎控除額は、つぎの算式により計算します。
基礎控除額 = 3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数
たとえば相続人が妻と子供2人の場合は、法定相続人は3人です。基礎控除額は =3,000万円 + 600万円 × 3人 = 4,800万円と計算できます。課税価格の合計額が4,800万円以下であれば、相続税の申告は不要です。
同じ「申告が不要」でも、税額ゼロでも申告が要る場合があります。納める人の範囲とあわせて確認できます。相続税の納税義務者とは?令和3年改正の影響とともに解説
相続税は正味財産に課税することとされています。そのため相続税の計算上、相続人などが負担した借入金といった債務の金額は、取得価額から控除します。
民法では、相続人などは原則、被相続人の財産の一切の権利義務を承継すると規定されています。そこで相続税法でも、積極財産から消極財産を控除した正味財産に対して課税することとされています。
借入金や未納の税金は差し引けますが、団信付きの住宅ローンや税理士報酬は引けません。控除できるもの・できないものを整理しています。相続税の債務控除を上手に使って節税!できるもの、留意点も解説
本記事について
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まずは相続税がかかるかどうか、目安を試算できます入力3分の簡易シミュレーションで税額の目安を確認できます。申告が必要になりそうな場合は、無料面談で進め方をご案内します。
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