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こんにちは、世田谷相続専門税理士事務所です。
本記事では、「小規模宅地等の特例」という、相続税の制度の中でも重要なテーマについて解説します。中でも「特定居住用宅地等」について詳しく見ていきます。
「特定居住用宅地等」とは、故人等が住んでいた土地で、特定の要件を満たした配偶者や親族が相続や遺贈により取得したものを指します。この特例の適用条件を理解することで、将来の相続税の節税に活かすことも可能となります。
この記事では、その特例の適用条件をパターンに分けて説明します。
この記事の目次
特定居住用宅地等とは
特定居住用宅地等とは、相続開始直前に被相続人等の居住の用に供されていた宅地等で、つぎに掲げる要件を満たすその被相続人の配偶者または被相続人の親族(被相続人の配偶者を除く)が相続または遺贈により取得したものをいいます。
具体的な適用対象部分は、次に区分に応じ、それぞれに掲げる要件に該当する部分で、それぞれの要件に該当する被相続人の親族が相続または遺贈により取得した持分の割合に応ずる部分です(措法69の4③二、措令40の2⑩⑪、措規23の2④)。
参照元:[No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)|国税庁]
パターンごとにくわしく見ていきましょう。
イメージ図は以下のとおりです。
イメージ図は以下のとおりです。
被相続人の居住用の宅地を、(B)被相続人の居住の用に供されていた一棟の建物に居住していた親族が取得した場合は、相続開始の時から申告期限まで引き続き建物に居住し、その宅地を保有していれば、本特例の適用を受けられます。
同居親族が取得したケースです。特定事業用宅地等で事業継続(承継)要件と保有継続要件がありましたが、特定居住用宅地等でも同居親族が取得する場合は、同じような要件が求められています。
被相続人が生前に生活の基盤にしていた家屋は、もちろん同居親族の生活の基盤でもありますから、同居親族がその家屋を相続した後の居住の維持を配慮して、本特例の適用が認められることとなります。
被相続人と同居していると大きな節税になるといわれるのはこれが理由で、同居親族が本特例の適用が受けられるからですね。
* ①相続開始後、家屋に居住を継続している同居親族とは別の親族が、被相続人から宅地を相続したケース
たとえば上図のように家屋に住んでいる同居親族の太郎ではなく、別の親族の次郎が宅地を相続したケースですね。特定居住用宅地等に該当するためには、宅地を取得した同居親族が、居住継続要件と保有継続要件を満たさなければなりません。
本ケースでは宅地を取得した同居親族の太郎が宅地を保有しておらず、宅地の保有継続要件を満たさないため、特定居住用宅地等に当たりません。
* ②相続開始後、宅地を相続した親族とは別の親族が、家屋に居住しているケース
たとえば上図のように宅地を相続した同居親族の太郎とは別の親族の次郎が、家屋に居住しているケースですね。特定居住用宅地等に該当するための要件は、上の例題で書いたとおりです。
本ケースでは宅地を取得した同居親族の太郎が家屋に居住しておらず、居住継続要件を満たさない、特定居住用宅地等に当たりません。
イメージ図は以下のとおりです。
被相続人の居住用宅地等を被相続人と別居している親族が取得したケースで、いわゆる家なき子特例といわれるものです。なお家なき子とありますが、子どもだけでなく親族も要件を満たせば対象となります。
家なき子特例は、勤務の都合などなんらかの事情により被相続人と同居できていないけど、ゆくゆくは被相続人の居住していた家屋に戻りたいと考えていた相続人を配慮する制度です。
本特例の適用を受けるためには、次の①から⑥の要件をすべて満たす必要があります。
1つ目の要件は被相続人の配偶者がいないことです。
被相続人の相続が発生したときに配偶者がいたら使えません。つまり家のない親族がいたとしても、「一次相続」では家なき子特例は使える余地はありません。家なき子特例が使えるかどうかは「二次相続」が前提となります。
配偶者がいれば別居親族よりも優先して配偶者が特例を使ってくださいということでしょうか。
2つ目の要件は、被相続人と同居している法定相続人がいないことです。
「二次相続」で配偶者がいなくても、被相続人と同居していた法定相続人がいると本制度を使えません。
法定相続人がいるのであれば、別居親族よりも優先して、それらの方々が宅地を引き継ぐべきと国は考えているところがあります。
相続開始のときに取得者が無制限納税義務者または制限納税義務者のうち日本国籍を有するものであることです。
ほぼ日本に居住している人の意味合いです。
本特例は相続後の相続人の居住拠点の維持に配慮した制度です。被相続人の相続開始直前に海外に居住しており、その後に日本に生活の拠点を移してくるか不確実な親族には、特例を認めないと国の考えているところがあります。
家なき子特例といわれる理由がこの要件です。なお家なき子といわれますが、子どもだけが要件の対象者ではありません。親族であればOKです。
相続開始前3年以内に日本国内にある以下の親族や法人が所有する家屋に居住したことがないことです。
取得者本人
取得者の配偶者
取得者の3親等内の親族
取得者と特別の関係がある一定の法人
平成30年度税制改正で家なき子の要件の見直しがありました。改正前の要件④は以下のとおりです。
(改正前の要件)
④相続開始前3年以内に日本国内にある取得者、取得者の配偶者が所有する家屋(相続開始の直前において被相続人の居住の用に供されていた家屋を除きます。)に居住したことがないこと
改正前後の要件を比べると、持ち家のない親族の範囲に、あらたに「取得者の3親等内の親族または取得者と特別の関係がある一定の法人が所有する家屋(注)」が加えられました。
取得者本人
取得者の配偶者
取得者の3親等内の親族(←追加)
取得者と特別の関係がある一定の法人(←追加)
より厳しくなる方向で要件が見直されています。これは持ち家のある相続人が、配偶者以外の近い親族に家屋を売却あるいは贈与し、居住関係は変わらないまま持ち家なしの状況を作り出すといった、趣旨に反する形で特例を適用するケースが目立ったことを受けてです。
5つ目の要件は、相続開始のときに、取得者が居住している家屋を一度も所有したことがないことです。
平成30年改正であたらしく追加された要件です。要件④があればいい気もしますが、ダメ押しで加えられています。
要件④の家なし親族に「 取得者の3親等内の親族」とあります。では家なし親族となるために、居住していた建物を4親等のいとこに売却し、居住はそのままの状態で3年の経過を待てば、特例を適用できるのかといえばNOです。
相続開始のときに持ち家でなくても、居住している家屋を過去に一度でも所有したことがあれば、何年前にその家屋を移そうが、本特例の適用を受けられません。
6つめの要件が、相続開始のときから相続税の申告期限まで宅地を所有していることです。
家屋への居住継続要件は課されていません。転勤などの事情があって被相続人の家屋に居住できてないのであるから、相続税の申告期限までに戻ってきて居住してくださいとまでは要求されていません。
被相続人が居住していた家屋には、申告期限までの利用状況についてとくに制限はありません。したがってたとえば、家なし親族が相続税の申告期限までに、被相続人が居住していた家屋を賃貸に出しても構いません。また申告期限までに家屋を取り崩してしまっても特例の適用を受けられます。
被相続人が所有していた宅地には、相続税の申告期限までの保有継続要件がありますので、申告期限までに売却してしまった場合は、その宅地は特定居住用宅地等には当たりません。しかし申告期限後の売却であればOKです。
(経過措置)
① 平成30年4月1日から令和2年3月31日までの間に相続等により取得をする財産のうちに、経過措置対象宅地等(※)がある場合には、改正前の特例を適用できます。
(※)経過措置対象宅地等とは、改正前の要件を満たす特例対象宅地等に該当することとなる宅地をいいます。
② 令和2年4月1日以後に相続等により取得をする財産のうちに経過措置対象宅地等がある場合において、令和2年3月31日においてその経過措置対象宅地等の上に存する建物の工事が行われており、かつ、その工事の完了前にその相続等があったときは、その相続等にかかる相続税の申告期限までにその経過措置対象宅地等を取得した個人がその建物を自己の居住の用に供することを条件に、その経過措置対象宅地等は、被相続人の居住の用に供されていたものとして、この特例を適用できます。
* ①は、平成30年4月1日から令和2年3月31日までの間の相続等であれば、改正前の要件により特例を適用できるか判定してもいいとされます。改正後、2年間の経過措置が設けられています。
②は、令和2年4月1日以後の相続であっても、令和2年3月31日に宅地に建っていた家屋の新築・増改築等が行われていて、その工事完了までに相続等があったとき、相続税の申告期限までに取得者が自分の居住の用に供したときに限り、改正後の要件を満たしているものとして特例を適用できます。
家なき子特例は以下の関連記事も参照ください。
イメージ図は以下のとおりです。
生計一親族の居住の用に供していた宅地を、その生計一親族が取得した場合です。
この場合、生計一親族は保有継続要件と居住継続要件が求められます。つまり相続税の開始時か申告期限まで引き続き宅地を保有し、家屋に居住していることが要件です。
たとえば被相続人は大阪に居住しており、子どもは東京に通うために被相続人が所有する東京のマンションに居住していたとします。子どもは被相続人からの仕送りを受けており、被相続人と生計一の親族です。
ここで被相続人の相続が発生し、子どもが東京のマンションの敷地を相続し、相続税の申告期限まで居住・保有継続の要件を満たすと、その宅地は特定居住用宅地等に当たります。
上の例では、生計一親族は被相続人の所有する建物に居住していましたが、生計一親族本人の所有する建物に居住している場合もありますよね。
たとえば被相続人が宅地を所有し、その宅地の上の建物は被相続人と生計一にしている子どもが所有している場合です。子どもが相続開始時から申告期限まで宅地を保有し、家屋に居住していれば、その宅地は特定居住用宅地等に該当します。
ただし子どもが被相続人から無償で宅地を借り受けている場合に限り、特定居住用宅地等に当たります。有償で借り受けている場合は、貸付事業用宅地等に該当してきます。
特定居住用宅地等の要件を満たさないカンタンな事例2つお伝えします。
* ①相続開始後、家屋に居住を継続している生計一親族とは別の生計一親族が、宅地を相続したケース
たとえば上図のように家屋に住んでいる生計一親族の太郎ではなく、別の生計一親族の次郎が宅地を相続したケースですね。生計一親族の太郎は、宅地の保有継続要件を満たしませんので、特定居住用宅地等には該当しません。
* ②相続開始直前に生計別親族が居住し、その生計別親族が宅地を取得するケース
たとえば上図のよう相続開始直前に生計別親族の三郎が居住の用に供していた宅地を、その生計別親族の三郎が相続するケースですね。
特定居住用宅地等に該当するためには、被相続人の居住用の宅地か、その生計一親族の居住用の宅地であることが前提です。被相続人と生計別親族の三郎が居住の用に供していた宅地ですから、その生計別親族の三郎が取得しても特定居住用宅地等には当たりません。
被相続人が老人ホームへの入所などの理由により相続開始の直前において被相続人の居住の用に供されていなかった宅地等も、被相続人の居住の用の宅地等とすることとされています。
被相続人が居住していた家屋を離れて老人ホームに入居したような場合は、生活の拠点も老人ホームに移転したものと考えられる場合が多いです。
生活の基盤が老人ホームにあるのなら、それまで被相続人が居住していた家屋の宅地に小規模宅地等の特例を認める必要はないのではないか争いがありました。
この点、平成25年度税制改正に伴い老人ホームに入居するまでに被相続人が居住していた宅地も被相続人の居住の用の宅地等とすると、法律により定められました。
つぎの①と②のいずれも満たす必要があります。
* ①つぎの(1)または (2)に該当すること。
(1) 要介護認定もしくは要支援認定を受けていた被相続人がつぎに掲げる住居または施設に入居または入所をしていたこと。
イ 認知症対応型老人共同生活援助事業が行われる住居・養護老人ホーム、特別養護老人ホーム・軽費老人ホーム・有料老人ホーム
ロ 介護老人保健施設・介護医療院
ハ サービス付き高齢者向け住宅
(2) 障害者の日常生活または社会生活を総合的に支援するための障害支援区分の認定を受けていた被相続人が障害者支援施設(施設入所支援が行われるものに限ります。)・共同生活援助を行う住居に入または入居をしていたこと。
* ②被相続人の居住の用に供されなくなった後に、その建物を事業の用(貸付も含む。)または新たに被相続人等(被相続人と入居または入所の直前において生計を一にし、かつ、その建物に引き続き居住している被相続人の親族を含む。)以外の人の居住の用に供していないこと。
②は、被相続人が老人ホームに入所した後の空き家を、誰かに賃貸してもダメですし、生計別親族に住ませることもダメです。被相続人等の「等」は生計一親族のことですから、被相続人と生計一親族以外の生計別親族の居住の用に供していないことが条件となってきます。
②の2つ目のカッコ書きは、被相続人が老人ホームに入居した後、被相続人と一緒に同居していた親族が、そのままその家屋に居住していても、生計別となってしまうことがあります。
そうすると「被相続人等以外の人の居住の用に供していないこと。」の要件に抵触し、特例を適用できなくなるように思われます。
しかし、もともと同居していて、被相続人が老人ホームに入居後も引き続き居住しているのに、それでは酷だとのことで、特例を適用できる親族に該当すると、カッコ書きにより規定されています。
被相続人が老人ホームに入居した場合の小規模宅地等の特例は以下の記事を差参照ください。
区分所有建物ではない二世帯住宅、生計別親族の取得
区分所有建物である二世帯住宅、生計別親族の取得
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