世田谷相続専門税理士事務所

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イメージがつかめる!計算例で学ぶ小規模宅地の特例の使い方

小規模宅地等の特例の計算

こんにちは世田谷相続専門税理士事務所です。

 

小規模宅地等の特例は適用を受けられるのかどうかの要件の確認も大切ですが、相続税の負担を減らすためには計算方法も理解しておく必要があります。

 

本記事では例示とともに小規模宅地等の特例の計算方法を解説します。

この記事の目次 

  • 小規模宅地等の特例の計算
    居住用宅地の計算
    ①自宅の土地1つを1人で取得するケース(面積330㎡以下)
    ②自宅の土地1つを1人で取得するケース(面積330㎡超)
    ③自宅の土地1つを2人で共有により取得するケース
    事業用宅地の計算
    ①店舗の土地1つを1人で取得するケース(面積400㎡以下)
    ②店舗の土地1つを1人で取得するケース(面積400㎡超)
    貸付事業用宅地の計算
    ①賃貸マンションの土地1つを1人で取得するケース(面積200㎡以下)
    ②賃貸マンションの土地1つを1人で取得するケース(面積200㎡超)
    複数の土地を取得するときの計算
    ①自宅の土地1つと店舗の土地1つを取得するケース
    ②自宅の土地1つと賃貸マンションの土地1つを取得するケース
    ③賃貸マンションの土地2つを取得するケース
    ビルを取得するときの計算
    留意点
    配偶者の税額軽減
    2割加算

小規模宅地等の特例の計算

 

小規模宅地等の特例の計算

 

小規模宅地等の特例は、選択特例対象宅地等が特定居住用宅地等の場合、合計330㎡まで80%の評価減、特定事業用宅地等と特定同族会社事業用宅地等は合計400㎡まで80%の評価減、貸付事業用宅地等は合計200㎡まで50%の評価減まで認められます。


 

限度面積は、選択した特例対象宅地等の組み合わせによって以下のとおり異なります。


 

  • ①選択特例対象宅地等が「特定居住用宅地等」のみである場合

 面積の合計:330㎡以下

 

  • ②選択特例対象宅地等が「特定事業用宅地等※」のみである場合

 面積の合計:400㎡以下

 ※特定事業用宅地等は、特定事業用宅地等と特定同族会社事業用宅地等をいいます。

 

  • ③選択特例対象宅地等のうちに「貸付事業用宅地等」がある場合

    • Aすべてが「貸付事業用宅地等」の場合
      面積の合計:200㎡以下

    • B「貸付事業用宅地等」のほかに「特定居住用宅地等」や「特定事業用宅地等」も選択する場合(限定併用)
      面積の合計:限度面積の調整計算    
  • 選択特例対象宅地等が「特定居住用宅地等」と「特定事業用宅地等」のみである場合(完全併用)
    面積の合計:700㎡以下

 

 
小規模宅地等の特例の計算

 

以下から具体例とともに確認していきます。

 

居住用宅地の計算

 

居住用宅地の計算です。

居住用宅地は、故人の自宅の敷地などが該当してきます。

 

①自宅の土地1つを1人で取得するケース(面積330㎡以下)

 

①自宅の土地1つを1人で取得するケース(面積が330㎡以下)

長男が、自宅の土地1つ(面積240㎡・価額48,000千円)を取得した場合です。

①自宅の土地1つを1人で取得するケース(面積が330㎡以下)

限度面積330㎡のうち240㎡まで適用できます。減額金額は△38,400円です。

価額48,000千円×80%=△38,400千円

小規模宅地等の減額後の金額は9,600円です。

 

②自宅の土地1つを1人で取得するケース(面積330㎡超)

 

①自宅の土地1つを1人で取得するケース(面積が330㎡超)

長男が、自宅の土地1つ(面積495㎡・価額99,000千円)を取得した場合です。

①自宅の土地1つを1人で取得するケース(面積が330㎡超)

面積495㎡のうち330㎡まで適用できます。評価減は△52,800千円です。

価額99,000千円×330㎡/495㎡×80%=△52,800千円

小規模宅地等の減額後の金額は46,200円です。

 

③自宅の土地1つを2人で共有により取得するケース

 

②自宅の土地1つを2人で共有により取得するケース

配偶者と長男が、自宅の土地1つ(面積500㎡・価額70,000千円)を1/2ずつ共有により取得した場合です。

 

配偶者と被相続人と同居する長男が小規模宅地等の特例の適用を満たすとします。

 

共有の場合の適用面積は、敷地全体の面積×持分で考えます。配偶者と長男の適用面積は、それぞれ250㎡(=面積500㎡×持分1/2)です。ただし特定居住用宅地等の限度面積は330㎡のため、本ケースでは長男が250㎡、配偶者が残りの80㎡を選択したとします。

②自宅の土地1つを2人で共有により取得するケース

配偶者と長男の減額単価は同じため、配偶者の税額軽減を踏まえると配偶者以外の者から優先的に減額すると、配偶者から減額するよりも、全体の相続税を少なくできます。

 

減額金額は、以下のとおりです。

配偶者:35,000千円×80㎡/250㎡×80%=△8,960千円

長男:35,000千円×250㎡/250㎡×80%=△28,000千円


このケースでは、相続開始直前に長男が被相続人と同居していたことから、特例の適用が可能とされました。しかし、長男が自立しているなどの理由で特例が適用できない場合は、土地の全面積500㎡の中から配偶者が取得する部分である250㎡にのみ特例が適用可能となります。

 

事業用宅地の計算

 

事業用宅地の計算です。

事業用宅地は、貸付事業用以外の個人事業や商売に使っていた店舗や工場などの敷地が該当してきます。

 

①店舗の土地1つを1人で取得するケース(面積400㎡以下)

 

①店舗の土地1つを1人で取得するケース(面積400㎡以下)

長男が、事業用店舗の土地1つ(面積360㎡・価額90,000千円)を取得した場合です。

①店舗の土地1つを1人で取得するケース(面積400㎡以下)

限度面積400㎡のうち360㎡まで適用できます。減額金額は△72,000円です。

価額90,000千円×80%=△72,000千円

小規模宅地等の減額後の金額は18,000円です。

 

②店舗の土地1つを1人で取得するケース(面積400㎡超)

 

②店舗の土地1つを1人で取得するケース(面積400㎡超)

長男が、事業用店舗の土地1つ(面積450㎡・価額90,000千円)を取得した場合です。

 

②店舗の土地1つを1人で取得するケース(面積400㎡超)

 

面積450㎡のうち限度面積400㎡まで適用できます。評価減は△64,000千円です。

価額90,000千円×400㎡/450㎡×80%=△64,000千円

小規模宅地等の減額後の金額は26,000円です。

 

貸付事業用宅地の計算

 

貸付事業用宅地の計算です。

貸付事業用宅地は、貸アパートや賃貸マンション、貸駐車場の敷地など、被相続人が有償で貸していた土地が該当してきます。

 

①賃貸マンションの土地1つを1人で取得するケース(面積200㎡以下)

 

①賃貸マンションの土地1つを1人で取得するケース(面積200㎡以下)

長男が、賃貸マンションの土地1つ(面積160㎡・価額60,000千円※)を取得した場合です。

 

※借地権割合と借家権割合を考慮後

①賃貸マンションの土地1つを1人で取得するケース(面積200㎡以下)

限度面積200㎡のうち160㎡まで適用できます。減額金額は△30,000円です。

価額60,000千円×50%=△30,000千円

小規模宅地等の減額後の金額は30,000円です。

 

②賃貸マンションの土地1つを1人で取得するケース(面積200㎡超)

 

①賃貸マンションの土地1つを1人で取得するケース(面積200㎡以下)

長男が、賃貸マンションの土地1つ(面積250㎡・価額60,000千円※)を取得した場合です。

 

※借地権割合と借家権割合を考慮後

①賃貸マンションの土地1つを1人で取得するケース(面積200㎡以下)

面積250㎡のうち限度面積200㎡まで適用できます。評価減は△24,000千円です。

価額60,000千円×200㎡/250㎡×50%=△24,000千円

小規模宅地等の減額後の金額は36,000円です。

 

複数の土地を取得するときの計算

 

複数の土地を取得するケース

複数の土地がある場合、すべての土地に小規模宅地等の減額を適用すると限度面積を超えてしまうことがあります。いずれの土地に小規模宅地等を適用するかは納税者の選択によりますが、相続税の節税を考える上では「1㎡当たりの減額金額」を求めて、その減額金額が大きいものから選択することが有利です。

 

複数の土地を所有しているなかで貸付事業用宅地等との組み合わせを選ばない場合は有利選択をする必要はありません。「完全併用」です。有利選択が必要となる場合とは、選択する土地のなかに貸付事業用宅地等があるときです。

 

複数の土地を取得するケース

貸付事業用宅地等の「1㎡当たりの減額金額」が、特定居住用宅地等のそれよりも2.64倍以上を超える場合、貸付事業用宅地等を選択する方が有利です。

 

また貸付事業用宅地等の「1㎡当たりの減額金額」が、特定事業用宅地等のそれよりも3.2倍を超える場合、貸付事業用宅地等を選択する方が有利です。

 

なお「1㎡当たりの減額金額」だけでなく、貸付事業用宅地等を選択する「限定併用」を選択する方が有利なのか、貸付事業用宅地等を選択しない「完全併用」が有利なのかも判定する必要があります。

 

①自宅の土地1つと店舗の土地1つを取得するケース

 

①自宅の土地1つと店舗の土地1つを取得するケース

配偶者が自宅の土地1つ(面積120㎡、価額24,000千円)を取得し、長男が店舗の土地1つ(面積250㎡・価額75,000千円)を取得した場合です。

 

特例対象宅地等のうちに貸付事業用宅地等がないため、特定居住用宅地等の330㎡と特定事業用宅地等の400㎡の合計730㎡まで小規模宅地等として選択します。完全併用による判定です。

①自宅の土地1つと店舗の土地1つを取得するケース

本ケースは、特定居住用宅地等120㎡≦330㎡と特定事業用宅地等250㎡≦400㎡を小規模宅地等として選択します。

 

特定居住用宅地等の減額金額は△19,200千円、特定事業用宅地等は△60,000千円です。

特定居住用宅地等:価額24,000千円×80%=△19,200千円

特定事業用宅地等:価額75,000千円×80%=△60,000千円

 

②自宅の土地1つと賃貸マンションの土地1つを取得するケース

 

②自宅の土地1つと賃貸マンションの土地1つを取得するケース

配偶者が自宅の土地1つ(面積320㎡、価額70,000千円)を取得し、長男が賃貸マンションの土地1つ(面積240㎡、価額30,600千円※)を取得した場合です。

 

※借地権割合と借家権割合を考慮後

②自宅の土地1つと賃貸マンションの土地1つを取得するケース

土地が複数ある場合で、選択特例対象宅地等に貸付事業用宅地等があるため、有利選択をします。

特定居住用宅地等の1㎡当たりの減額金額は175千円、貸付事業用宅地等は62.5千円です。


 

特定居住用宅地等の1㎡当たりの減額金額175千円×2.64倍=462千円(大)

貸付事業用宅地等62.5千円(小)

∴ 特定居住用宅地の320㎡から優先して選択する


 

特定居住用宅地等320㎡、貸付事業用宅地等の6.07㎡を選択し、減額金額は△56,379千円です。

特定居住用宅地等(配偶者):価額70,000千円×80%=△56,000千円

貸付事業用宅地等(長男):価額30,000千円×6.07㎡/240㎡×50%=△379千円

※ 調整計算 320㎡×200㎡/330㎡+6.07㎡≦200㎡

 

③賃貸マンションの土地2つを取得するケース

 

③賃貸マンションの土地2つを取得するケース

配偶者が賃貸マンションの土地1つ(面積140㎡、価額28,000千円※)、長男が賃貸マンションの土地1つ(面積120㎡、価額14,000千円※)を取得した場合です。

 

※借地権割合と借家権割合を考慮後

③賃貸マンションの土地2つを取得するケース

貸付事業用宅地等1㎡当たりの減額金額は、配偶者が取得する土地100千円であり、長男が取得する土地は58千円です。

 

∴ 配偶者が取得する土地の140㎡から優先して選択

 

貸付事業用宅地等(配偶者)140㎡、貸付事業用宅地等(長男)60㎡を選択し、減額金額は△17,500千円です。

 

貸付事業用宅地等(配偶者):価額28,000千円×50%=△14,000千円

貸付事業用宅地等(長男):価額14,000千円×60㎡/120㎡×50%=△3,500千円

 

ビルを取得するときの計算

 

ビルの場合

長男が5階建のビル(居住部分の価額19,000千円、賃貸部分の価額90,000千円※)を取得した場合です。その他の情報は、上図を参照ください。

 

※借地権割合と借家権割合を考慮後

ビルの場合

特定居住用宅地等50㎡、貸付事業用宅地等の169.7㎡を選択し、減額金額は△40,655千円です。

 

特定居住用宅地等:価額19,000千円×80%=△15,200千円

貸付事業用宅地等:価額90,000千円×169.7㎡/300㎡×50%=△25,455千円

 

※ 調整計算 50㎡×200㎡/330㎡+169.7㎡≦200㎡

 

留意点

 

相続税は遺産分割の内容によって変動するため、小規模宅地特例の適用を受ける際には、「1㎡当たりの減額金額」だけでなく、土地を取得する人も考慮する必要があります。

 

配偶者の税額軽減

 

小規模宅地等の特例を利用して税額を減らすためには、配偶者以外の親族に特例を優先的に適用することです。これにより、全体の納税額を効果的に減らせます。配偶者の場合、配偶者の税額軽減が適用可能で、これにより、小規模宅地等の特例を利用しなくても相続税はゼロ、または大幅に少なくなります。配偶者が小規模宅地等の特例を利用しても、全体の相続税を減らす効果は少ないですが、一方で他の親族が利用するとその効果は大きくなります。

 

配偶者の税額軽減

 

上表では二つの異なるケースを検討しています。

 

  • ケース①:配偶者が取得した特定居住用宅地等(面積330㎡、価額50,000千円)に特例を適用
  • ケース②:長男が取得した貸付事業用宅地等(面積200㎡、価額50,000千円)に特例を適用

 

配偶者が特例を適用した場合、課税価格はより小さくなります。しかし、相続税については、長男が特例を適用した場合の方が税額が少なくなります。つまり、課税価格が小さいというだけで、必ずしも相続税が低くなるわけではないという点に注意が必要です。

 

2割加算

 

小規模宅地等の特例の適用を考えるとき、2割加算対象者に先に特例を適用することで、効果的に相続税の軽減が可能となります。

 

2割加算

上表では二つの異なるケースを検討しています。
 

  • ケース①:長男が取得した特定居住用宅地等(価額50,000千円)に特例を適用
  • ケース②:孫(2割加算対象者)が取得した特定居住用宅地等(価額50,000千円)に特例を適用


上記のケース②では、孫(2割加算対象者)が取得した特定居住用宅地等に特例を適用すると、相続税の総額がより少なくなることが確認できます。

 

2割加算は、各人の算出税額の20%に該当する額が加算されることを指します。この2割加算対象者のあん分割合を小さく設定することで、2割加算の額そのものを小さくできます。

2割加算対象者に対して特例を適用する場合、2割加算対象者のあん分割合が小さくなり、全体の相続税の負担が軽減されます。そのため、相続税を少なくする点からは、2割加算対象者が取得した土地に特例の適用を優先的に考えることが効果的です。

 

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